日本のファストファッション大手ユニクロが、地域文化やライフスタイルに密着した「ユニクロシティジャーナル」シリーズを立ち上げ、ハイパーローカルマーケティングへと革新的な転換を図っている。写真・アートブック出版社「假杂志(ジャザジ)」とタッグを組み、上海と武漢の2都市に特化した初回版を制作。それぞれの都市ならではの都市探索体験を提供している。

上海版:現代と伝統の融合
2024年5月末に発売された上海版「A Better Life in Shanghai(上海でのより良い生活)」は、同市を特徴づける現代と伝統の要素の対比を探求している。ファッションショーディレクター、カフェオーナー、ナイトクラブ創設者、フリーランスのコラムニストなど地元の人々が共同制作に参加し、上海の都市文化の豊かな織物を表現している。
このジンは、ユニクロの淮海中路グローバル旗艦店で500元(約1万円)以上購入した顧客に提供され、限定1,400部はすぐに完売した。ただし、展示用コピーは地元の様々なショップやレストランで閲覧可能となっている。
武漢版:文化とライフスタイルのハイライト
同様に、武漢版「A Better Life in Wuhan(武漢でのより良い生活)」は、5月の連休中に新しい中部中国旗艦店のオープンに合わせて発売された。この版は歴史的な黄鶴楼から始まり、水路や小道を通じて読者を案内し、朝食スポット、クラフトビール、ライブ音楽会場など地元の伝統を紹介している。メディア実務者やロックバンドのフロントマンなどがこの版の制作に参加し、多様な視点をコンテンツに加えている。

コンセプト:地域に根ざしたライフスタイル探求
「ユニクロシティジャーナル」は、没入型の都市散策ガイドを通じて、ファッションとライフスタイルの架け橋となることを目指している。両版とも地元のライターやクリエイターが参加し、各都市の雰囲気を本格的に表現。カフェやアートスポット、サイクリングルート、食事処など、トレンディかつ伝統的な場所を紹介する都市探索マップを中心に構成されている。
今後の展開とグローバルコンテキスト
ユニクロは、より多くの都市をカバーする今後の版の計画を確認しており、地域密着型マーケティングへのコミットメントを強化している。このイニシアチブは、2019年に立ち上げられたグローバルな「Lifewear」ジンや、Tシャツコレクション向けの「UT2020 Magazine」など、ライフスタイルコンテンツをブランドに統合するユニクロの広範なトレンドに続くものである。
ブランドイメージへの影響
地域文化を取り入れ、地域の観客に響くコンテンツを作成することで、ユニクロはライフスタイルアピールを高めるだけでなく、より深い地域での信頼性を確立している。このハイパーローカルなアプローチは、若くトレンドに敏感な消費者を惹きつけるために文化的・ライフスタイル的なキャンペーンを成功裏に活用してきたルイ・ヴィトンなどの高級ブランドの戦略を反映している。
感情的価値と地域の本物性が最も重要な市場において、ユニクロの「シティジャーナル」は、ブランドを関連性があり文化的に調和したものとして位置づける戦略的な動きである。このイニシアチブは、単なるファッションを超えて、ライフスタイルや個人的な体験の領域にまで消費者とより深くつながることの重要性を強調している。