スターバックス中国は、広州と深圳の一部の店舗で「星子自習室(Star Study Room)」と呼ばれる新しいサービスを開始しました。この専用のワークスペースは、Wi-Fi、電源、水が無料で提供され、商品の購入や時間制限、予約は一切不要です。この動きはソーシャルメディアで大きな話題となり、ハッシュタグ「#星巴克推出自习室(スターバックス自習室)」は微博(Weibo)で3800万回以上の閲覧数を記録しています。

「第三の場所」コンセプトの進化
この取り組みは、スターバックスが長年掲げてきた「第三の場所」というコンセプトをさらに推し進めるものです。同社はこれまでにも、ペット同伴可能な店舗や読書ラウンジを開設するなど、顧客の多様なニーズやライフスタイルに対応してきました。今回の自習室サービスもその一環であり、単なるコーヒーを提供する場ではなく、仕事や学習、休憩、そしてコミュニティの場としての役割を拡大しようとしています。
競争激化への戦略的対応
このサービスは、中国市場における競争激化に対するスターバックスの巧妙な戦略でもあります。ルッキンコーヒー(Luckin Coffee)のような低価格チェーンが9.9元(約1.38米ドル)のコーヒーを提供し、価格に敏感な顧客層を奪う中で、スターバックスは価格競争を避け、無料かつ快適な作業・学習スペースを提供することで、顧客の新たなニーズに応えています。これは、混雑した図書館や騒がしい自宅といった、満たされていないニーズに対応するものです。
試験運用中は早朝(午前8時~10時)の新規顧客の約70%がアイスアメリカーノやフラペチーノなどのドリンクを購入しており、自習中の軽食もフードの売上向上に貢献しているとのこと。これにより、他の分野での売上減少を補う効果も期待されています。
今後の展開
この自習室サービスは、広州と深圳だけでなく、広西チワン族自治区や海南省の一部都市でも導入されており、今後さらなる展開が注目されています。静かで機能的な空間への需要に応えることで、スターバックスは中国における日常生活での存在感をさらに高めていくことが期待されています。